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『木暮荘物語』 三浦しをん 

木暮荘物語
今にも崩れそうな木造2階建てのアパート、木暮荘の住人とその周りの人々を主人公にした短編集。
テーマはセックス…というか、性欲なのかな。様々な年代の様々な立場の人が、時に欲に振り回され、時に冷静にそれを考える姿がなんともいえないおかしみのある話ばかり。テーマの割にちっともねっちょりしていなくて、さらりと読めました。本当にしをんさんは物語に合った文章を書かれるなあ。

好きなのは、「シンプリーヘブン」と「嘘の味」。
最初はえ!?と思ったけど読んでいるうちにヘンに気に入っちゃったのは「穴」。それに続く「ピース」の光子と神崎の関係。現実的にはありえないと思うけど(笑)
「心身」はちょっとついていくのに息切れしましたが、この話がこの本の大事なところに一番近いのかな、とも思います。性欲は生きていく欲につながっている、生きていくってかっこ悪くてせつなくておかしいなあ、でもなんだかいとおしい、そういう気持ちになったから。

続きを知りたいけれど、読みたくはない。そういう、いい気持ちで本を閉じました。

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『天国旅行』 三浦しをん 

天国旅行
全て心中をテーマにした短編集ということなので重たい話ばかりなのかと思ったら、そうではありませんでした。話によって語り口も雰囲気もガラリと違う。「心中」の扱い方も様々で、しをんさんの引き出しの多さを感じます。

私が好きだなと思ったのは「森の奥」と「初盆の客」。
こうやって好きな話を挙げてみると、自分がどういう話が好きなのかがよくわかりますね。
この本を読んだ人同士でどれが好きだったかを話すとお互いの好きな本の傾向がつかみやすいんじゃないかなあ、と思います。

『扉守』 光原百合 

扉守(とびらもり)
瀬戸内の海と潮ノ道三山と呼ばれる山に囲まれた町。ここに住む人とここを訪れる人が出会う少し不思議な出来事をが綴られた連作短編集。

とても素敵な本でした。
登場する人たちもみな魅力的だけど(特に「セルベル」の店長と零さんにはぜひまた会いたい!)、潮ノ道という土地の描かれ方がまたとても素敵。どの話も浮かんでくる風景がとても美しく、モデルとなった土地を愛してらっしゃる光原さんの気持ちが伝わってきます。

本全体の雰囲気はほんわりとしているのだけれど、中には人の黒い気持ちを切り出してみせているものもあり、やさしいだけではない。そのあたりもいいです。

これは熱烈に続編希望!

『野良女』 宮木あや子 

野良女
毎日楽しくやってきたけれど、ふと気がつくと将来への不安が目の前にちらつく。そんな年頃の女5人の、たたかいの日々というか幸せ探しの日々というか…。

とにかくシモネタが多いのだけど、どの登場人物もそれを「晩ごはん何食べたい?」みたいに普通に話すものだからいやらしさはないですね。体の不安からDVまで結構ディープな内容のはずなのにそれを感じさせないのがすごい。女同士のおしゃべりのあの勢いがそのまま、いや、パワーアップして本になった感じです。まあ実際は、あそこまであけすけに話すことはさすがにないけど。男の人が読むと「オンナってこんな会話してんの!?」って感じなのかなあ。
時々思わず噴出しそうになりつつさくさく読み進んで、気がついたらまとめの最終話。

面白かったです。
でも、好きかというと、あまり好きではないかなあ。
たぶん彼女たちと私が高校で同じクラスだったら、きっと同じグループにはいないと思うのですよ。好き嫌いじゃなくて考え方とか楽しいと思うこととかが違ってて。
そのあたりのズレのせいか、どっぷりハマることなくどこか冷めたまま読んじゃったように思うのです。
これがミステリとかSFとかなら自分と切り離して読んでいるからたいていのことは受け容れOKなのですが…。

『セレモニー黒真珠』が大当たりでかなり期待していたため、好みじゃなかったのが残念。

『光』 三浦しをん 

光
突然の津波によって島民のほとんどが死んだ美浜島。そこで生まれ育ち、生き残った3人はある秘密を抱えて島を離れる。そして20年の歳月が流れた。

『光』というタイトルからは想像していなかった生々しさに最初は戸惑ったものの、すぐに物語りに惹きこまれ一息に読み終えました。三浦しをんさんの作品すべてを読んでいるわけではないけれど、読むたびに違う文体や雰囲気には驚かされます。
とりわけ様々なかたちで描かれる理不尽な暴力には、読んでいて昏いところへ気持ちがずぶずぶと引きずり込まれていくようなこわさがありました。

読後には、人が抱え飲み込んでいるものへの怖さが少しと、なにに対してなのかよくわからない空虚な気持ちが残り、今もそれを持て余しています。
自分が見ていると思っているものは、どこまでが本当なんだろう。結局人はひとりなのかな。

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