スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『午前零時のサンドリヨン』 相沢沙呼 

午前零時のサンドリヨン
鮎川哲也賞受賞作。
日常の謎を解く話で学園ものと聞いては読まないわけにはいかん!とかなり期待して本を開きました。

…うーん、正直なところ、あまり好みではありませんでした。
好きになれる人物がいなかった、というのが大きな理由ですね。たぶん、作者がよしとすることと私がよしと思うことが違うのだと思います。こういう登場人物の気持ちが大事に描かれていて、なおかつそれが物語の核になっているような話だと、感情移入できないことは面白いと思う気持ちにかなり影響するのではないかと。

ただ、最後の謎解きはとても綺麗で印象に残りました。

スポンサーサイト

『青嵐の譜』 天野純希 

青嵐の譜
壱岐で育った幼馴染の二郎と宗三郎は、神域と言われる小島に流れ着いた異国の少女、麗花と出会う。
しかし、絵の勉強のために宋へ渡った二郎が嵐で行方不明となり、麗花は博多へと引き取られ、壱岐には宗三郎だけが残った。
時は流れ、彼らは蒙古襲来という嵐の中、思いもかけない形で再会することとなる…。



面白かった!
元寇を扱った小説を読むのはじめてで、知っていることといえば歴史の授業で習った「蒙古が2度にわたって攻めてきたが、蒙古軍は2度とも嵐で撤退していった」ということだけ。
前作『桃山ビート・トライブ』がとても面白かったので期待はしていても、予備知識なしで大丈夫なのか?と心配しつつ読み始めたのですが、全くの杞憂でした。

とにかく登場人物がみんな魅力的。出番の多少にかかわらず皆生き生きと描かれ、前作に引き描かれている音楽も、熱っぽく力強く物語を彩っています。

蒙古軍が侵略してくる様は本当に容赦のない描かれ方で、血なまぐささは半端じゃないのだけど、それでもずっと物語が前へ前へと向かっている感じがしていたのは何故だろう?
それなりに重いものを受け取ったと思うのに、読後感は意外なほどさわやかです。

追いかけたい作家さんがまたひとり増えました。
次はどの時代の、どんな物語を聞かせてくれるんだろう?とても楽しみです。

『オチケン、ピンチ!!』 大倉崇裕 

オチケン、ピンチ!! (ミステリーYA!)
『オチケン!』を再読した勢いで読みました。シリーズ第2弾です。

今回も収録されているのは中編が2つ。
越智のトラブルへの巻き込まれ具合も前作同様(笑)

最初の話は『オチケン!』のラストで起きた岸先輩がらみのトラブルの話。前の話をちゃんと覚えていなかった私は慌てて再読しましたが、前作で語られたのは起きたことのほんのさわりだけで、そこについては再度ちゃんと語られているので、読んでいなくても問題ないのでは。
とはいえ、オチケン3人の立ち位置がわかっているほうが断然楽しいと思うので、再読したおかげで楽しさアップでした。

後の話は今までとは少し雰囲気が違いますね。芸というものについて、少し踏み込んだ内容になっています。目指す背中が大きいといろいろ悩むこともあるんだろうな。

彼らがこれからどうなっていくのか、ぜひ続きを読みたいです。

ひとつ残念なのは、頭に浮かぶ岸さんのビジュアルがどうしても素敵にならないこと;
おかっぱで狸という文を見て、最初にあるお笑いタレントさんの顔が頭に浮かんでしまって、そこから離れられない(涙)
せっかく食えない部分と落語に対する真摯な部分とのギャップがいい感じなのに…。



『オチケン!』 大倉崇裕 

シリーズ第2弾の『オチケン、ピンチ!!』を開いたら、どうも前作の最後から繋がっているみたいなのにどう終わったのかよく思い出せず…(汗)

というわけで、再読。

名前が越智健一だという理由で連れて行かれた落語研究会。部員は天才的な落語の才能を持つ岸と、私は落語はやりませんと豪語する強くて切れ者の中村の2人だけ。部員が3人を切ると自動的に廃部になってしまうから、と半ば強引に入部させられてしまった越智の波乱万丈なキャンパスライフの幕開け。

本人にまるでその気がないのに気がついたらトラブルに首まで浸かっているのが、気の毒やらおかしいやら。部室の使用権をめぐる争いに、学院に多大な影響力を持つ馬術部の醜聞と、休むヒマなし(笑)
どちらの話も謎ときに落語の噺が絡んでいるのが楽しいです。「寿限無」とか、わりと耳になじみのある噺をひいているのも嬉しい。
謎解きについては少々強引な感じもするけれど、状況や動機もなんというか大仰で(それでいて本人たちは大真面目)マンガチックな感じもするので、強引くらいでちょうどいいのかな。

それにしても、先輩2人は本当に食えないですね。読んでいて、「そういうヒントを出すってことは真相がわかってるってことじゃ?なら教えてあげればいいのにー!」と何度思ったことか。

巻末についている付録の落語についてのエッセイも面白いです。大倉さんは落語がお好きなんだなあと改めて思いました。


『猫を抱いて象と泳ぐ』 小川洋子 

猫を抱いて象と泳ぐ
静謐で、とても美しい物語でした。紡がれる言葉ももちろんだけれど、特にチェスの対局場面を語る言葉の美しさはなんともいえません。私はチェスはルールがわかる程度なので、どれだけすごい手が指されたのかを理解することはできないけど、それでも盤上に描かれたものを受け取ることはできたのではないかと思います。

「猫を抱いて象と泳ぐ」とは奇妙なタイトルだなあと思っていたけれど、読み始めて程なくしてその言葉をすんなりと受け入れ、一緒に深い海を泳ぐような気持ちで頁をめくっていました。
現実から少し浮き上がったところで紡がれる物語は、大袈裟な感動とは違う、静かな興奮と哀しさを、そして何よりも本を読むことの幸福を感じさせてくれました。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。