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『死神の精度』 伊坂幸太郎 /文藝春秋 

死神の精度人が病気や老衰などではない不慮の事故で死ぬ時、その人が死を迎えることの可否を調査する「死神」がやってくる。対象と接触し、話を聞き、結果を報告するのが彼らの仕事。彼らが「可」と判断すれば死、「見送り」と判断すれば生の続き。ただ調査は形式的なものになっていて、ほとんどの場合は「可」と報告される。
これは、”ほとんどの場合は「可」だけど、ちゃんと調査はするのが信条”の死神が調査した6つの物語。

まず面白いなーと思ったのは、死神が仕事のたびに見た目を変えている、という設定。時間を超えた存在は見た目が変わらないことの方が多いように思うのです。で、昔の写真に同じ顔を見つけてあれ?とかいう展開になったりとか(それでいつも思い出すのは「スケバン刑事」の信楽老(笑))。でもこれはそうじゃなくて、対象に合わせて接触しやすい見た目で登場する。「ほう、面白いね」なんて思いながら読んでいたのですが、終盤になってこの設定が思っていた以上に重要だったことに気がつきました。その時には他にも「そうか、そうだったんだ」と思うことが重なって、ぷるっと震えがきちゃった。

どの話も面白いし、ワンパターンになっていないのがいいですね。雪に閉ざされたペンションでの連続殺人とか、なぜ美容院に客を集める必要があったのか、とかの謎をさりげなく(謎は話のメインではないのです)話に織り込んでいるのも楽しい。
あとは死神の立ち位置もとてもいいですね。対象はあくまで調査対象で、ヘンに情をかけたりしない。もしこれが情に訴えられて「見送り」を連発するような話だったら、こんなにいいと思わないんじゃないかなと思います。

私がいちばん好きなのは「恋愛で死神」。この話のラストシーンが大好きです。哀しみを直接見せられるわけではないのに、胸をぎゅっとつかまれたみたいに切なくなりました。
あとは「死神対老女」(この本の最終話)の最後もよかった。上に書いたように「そういうことだったのかっ」と盛り上がった状態で迎えた最後の場面は、自分もそこで同じ光景を見ているようで胸がいっぱいになってしまって、涙が出そうでした。

伊坂さんの本はどれも好きだけど、中でもこれは「かなり好き」です。

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死神の精度

NHKのラジオドラマで出会った。 すぐに原作が欲しくなった。 ラジオで聞いた後で、この本の世界はすぐに心の中に入ってきた。 この作品に触れるのは2度目だったが、初めて読んだような(初めて読んだのだが・・・) 爽快感、幸福感・・・本によって生まれる感動、全てが新鮮に

  • [2007/03/26 08:25]
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