スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『君の名残を』 浅倉卓弥 /宝島社 

君の名残を読む前に、高校生が源平の合戦の時代にタイムスリップする話、ということだけは知っていました。女の子の名前が友恵、男の子の名前が武蔵とくれば、そこでどのような立場になるのかもほぼ察しがつく。友恵の友人の弟志郎がどういう役割なのかはわからなかったけど、なんとなく「お互いに好意を持っている男の子と女の子が合戦の最中でお互いを探し求める話」なのかな、なんて思っていたんですが、そういう話ではなかったですね。

時間の都合で一気読みというわけにはいきませんでしたが、長さは全然気になりませんでした。
今までにいくつかこの時代の話を読みましたが、こんなに素敵な義仲は初めて。友恵が惹かれるのはよくわかります。それがわかるから、自分が知る歴史と同じ道は決してたどらせはしないという友恵の決意には何度も泣きました。
こういう歴史ものって、その行く末を知らなければ「これからどうなるんだろう」というどきどきがあるのでしょうが、知っているからこその楽しみというのもありますよね。今回のように義仲像が一般に語られているものとは違う場合は「どうやって実際の歴史とつじつなをあわせるんだろう」という興味が湧くし、誰かが決断をするたびに「ああっ、それが裏目に出ちゃうんだよう」なんて盛り上がったりする。先に悲しいことが待っているのがわかっていると、本当になんでもない場面で泣けちゃうこともある。義高と大姫については特にそう。仲むつまじいふたりの姿を読むだけで涙がじわじわと…。出番こそ少なかったけれど、義高はとてもかっこよかったです。読み終わった後に彼の出てきたところをもう一度拾い読みしちゃったくらいに(苦笑)

あと、全体に思ったのは、風景や情景の描写がとても綺麗で映像的だなということ。木曾の山々、見下ろした京の町、降りしきる雪の中での合戦、視界を阻む雪が途切れたその先に見えたもの。どこも美しくて、時にはぐんぐんと、時にはスローモーションで、特に意識しなくても頭の仲に像が浮かびました。
このわかりやすさも、長さが気にならなかった理由かもしれません。

特に誰かの視点ばかりというわけではなく、内面に踏み込みすぎない書き方は、どちらかというと感情的な読み方をする私には少し物足りないところもあったけど、でも、こういう物語にはその方がいいんでしょうね。ただ、武蔵側についてはもう少し書いてほしかったな。

現代の高校生がその時代の人間として生きてゆくことを決意するまでがややあっさりしているかなということ、ラストで明かされたあることについてなど、腑に落ちないこともいくつかあるのですが、それでもいいやと思えるからよし、です。
『四日間の奇蹟』を読もう読もうと思いつつ積んであるので、勢いのあるうちに読みたいな。

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://itetsuki.blog3.fc2.com/tb.php/170-6fb4d984

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。