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『チェーン・ポイズン』 本多孝好 

チェーン・ポイズン
単調な毎日の中に生きる意味を見出せず、このまま続いていく将来には漠然とした絶望しかない。彼女の口から「死にたい」という言葉がこぼれたとき、近づいてきた人物が言った。

 本当に死ぬ気なら、あと一年待ちませんか?
 一年我慢すれば、私が楽に死ねる手段を差し上げます。


本多孝好さんの本は、デビューからしばらくは新作が出るたび追いかけるように読んでいたのですが、ここ何作かは未読です。だから余計にそう思ったのかもしれませんが、以前に読んだ物語とはずいぶん雰囲気が違うなと思いました。なんていうのかな、少し闇に足を踏み入れたような感じ。

物語は、謎の人物から一年後の死の手段を提示された女性が語る「その日」までと、同時期にアルカロイド系の薬物での自殺が続いたことに不審を抱いた週刊誌記者が女性が何故死に至ったのかを追うさま、時系列の違う2つの話が交互に綴られていきます。

少しダークな空気を纏ってはいても、文章はとても読みやすく、ほぼ一気に読み終えました。

一年後の約束をしていったのは誰なのか、一体何の目的があってそんなことをしたのか。
もちろんそれも気になりますが、それよりも、死ぬまでの日を指折り数え生きることに何の執着を持てない女性の方に、すっかり気持ちを持っていかれてしまいました。
あと一年。そう決めてから少しずつ変化していく彼女が、何故、どういうふうにその日を迎えることになったのか?
彼女の命の値段が意味を持ったあたりからは、先が知りたくて知りたくて夢中で読んで、
「うげえ」
の場面では目頭が熱くなって字が上手く読めなくなってしまったりもしながら、とにかく頁をめくりました。

とてもよかったです。
闇が晴れたわけではないのかもしれない。でも、確かに光は見えた。
少し希望を持って本を閉じることができるこの終わり方は、とても好きです。

仕掛けも、しっかりありました。
読んでいてどうも違和感を覚えながらもその正体がわからずにいたことが、腑に落ちたときの驚きといったら!

とても満足です。
これを機会に、読んでいなかった本多さんの本も、読みたいな。

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