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『鷺と雪』 北村薫 

鷺と雪
シリーズ3作目。前の2作を再読し、いよいよこれで完結かと思うと読むのが惜しいように思えてならないのだけれど、えいっと開いて読み始めました。

前作を読み終えたとき、だんだん重くなっていく謎の答えに「次はどうなってしまうのだろう?」と思ったのだけど、その心配は見当違いだったようです。
行方不明になった人とそっくりなルンペン、いるはずのない人が写った写真。縁あって関わった謎の答えをベッキーさんの的確な助言によって英子が解いていきます。
でもその謎について調べているときに見えること、遭遇することのどれもに時代の影が垣間見えて、語られている出来事は緊迫したものではないはずなのに、読んでいるこちらの緊張感は増していきます。

ここからは、どうしても終盤の展開に触れてしまいそうなので、未読の方はご注意ください。

若月さんとの再会は、期待していただけにドキドキして「やはり彼との出会いは運命なんだ」なんて盛り上がる一方で、彼の言葉に嫌な予感がしました。こういう言い方をするなんて、もしかしたら、と。
「鷺と雪」で熱を出した英子の元に3冊の本が届いたとき、本を贈られた喜びを一緒に感じてなんともいえない幸せな気持ちになるのと同時に、若月さんが本を送ってきたということはやはり、と、奥からこみ上げてくる気持ちを抑えつつ頁をめくりました。
そして、英子がかけた電話。
このあたりを読んでいたとき、私の指は本当に震えていたのではないかと思います。迎える結末は予想していたけれど、まさか、まさか、そんなことがあるなんて。
せつなく哀しい余韻の残る幕の引き方はとても鮮やかで、しばらく呆然として本を閉じることもできないでいました。

我に返って、それでもまた雪の朝の続きにいたくて、本棚の中から『蒲生邸事件』と『ねじの回転』を引っ張り出して、開いてみたものの「やっぱり違う物語だ」と閉じて…なにをやっているのでしょうね、私は。(苦笑)

落ち着いてから、終盤を何度か読み返してみました。
勝久様とベッキーさんとの会話も含むものが多く、心に残ります。勝久様がなにを「分かっています」と言ったのか、ベッキーさんが口にし、勝久様が聞こえなかったと言った会話の意味は。
帯に引用されているベッキーさんの言葉が胸に沁みました。
時代背景も含め、すべてを理解できたわけではないけれど、大切なことはたぶん受け取れたと思います。

参考文献の最後を締める文章も、とてもいいです。もしも参考文献に目を通していない方がいらっしゃったら「そこも読んでください」と言いたい。
何度も読み返したくなるだろう本が、また増えました。

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