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『模像殺人事件』 佐々木俊介 /東京創元社 

模像殺人事件病に伏した友人から、一枚のフロッピーを渡された啓作。そこには人里離れた屋敷で起きた殺人事件の記録が収められていた。

「しかし啓作。難題は難題だよ。誰が殺したか?いかに殺したか?俺が考えるに、問題はそんなところにはない」
「・・・・・・何がいいたい?」
相手の真意を測りかねて、啓作はじっと友の顔を見た。
「うむ、俺がお前に委ねたい設問はただこれひとつさ。その屋敷でいったい何が起こったのか?」

                -本文より-

・・・ちょっと長く本文を引用してしまいました。冒頭で語られるこの言葉が、この物語のことをとてもよく表しているのではないかと思って。(帯にもこの言葉が使われてますね)
前半の記録部分は、その場に居合わせた小説家の視点で、そこで起きたことが綴られます。
八年前に出奔した長男がミイラ男のような包帯姿で戻ってくる。そこへもう一人同じ包帯姿の男が現れて、自分こそが長男だと主張している。そんな場面に行き合わせてしまったら、どうしたって「どっちが本物の長男なんだろう?」と考えてしまいますよね。私も語り手と一緒にどちらが本物なのか、そして起きた惨劇は本当に語られたとおりのものだったのかを考えながら(と同時に作者の仕掛けを見破るべく文章に気をつけながら)読み進んでいったわけです。
で、私は私なりに「きっとこういうことだよね」なんて思いつつ終盤へ。・・・驚きました。何を驚いたのかは書けませんが。

文章は全体的に古めいていて、語り口調もちょっと昔風(「それはけしからんな」とか「うむ」とか)。だからなんとなく昭和中頃の話なのかなと思っていたら、フロッピーが出てきたり登場人物が携帯電話を使おうとしたりして、それは正直ちょっとへんな感じがしたんですよ。なんとなく座りが悪いというか落ち着かないというか。
でも読み終えた今はそれもこの話の味なのかなと思います。昔みたいだけど昔じゃない、現代みたいだけどそうでもないかもしれない。現実感とは離れたところにこの物語はいるのかな、と。
このあたりは巻末の千街晶之さんの解説に「そう、そうなんだよね!」と思わず頷いてしまうくらい的確にわかりやすく書かれていますね。

読後のこのなんともいえない感じを上手く言葉にできないのがとてももどかしいっ。
いろいろひっくるめて、私は好きです。

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